インフルエンザ

4.治療

インフルエンザは自然治癒する病気です。慌てずに注意する点を踏まえて対処しましょう。
◆発症したら48時間以内に医療機関を受診しましょう。
誤った自己診断は危険です。
◆安静にして睡眠を十分にとりましょう。
水分をこまめに摂るようにしましょう。お茶やジュースやスープなど飲みたいもので良いです。
流行を最小限に抑える為にも、ウイルスが体内に残っているうちは自宅で休養するようにしましょう。



ご注意!
15歳未満の子どもにおうちにある解熱剤を飲ませないで下さい!
 特に以下の成分を含むものはインフルエンザ脳症、脳症の悪化、ライ症候群※1を引き起こす危険性があるので絶対に飲ませないで下さい。
 厚生労働省からの資料も出されています。代表的なものが、アスピリンなどのサリチル酸解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸です。別の人に処方された薬はもちろん、当人用のものであっても、別の受診時に処方されて使い残したものを使用することは避けるべきです。また、市販の解熱鎮痛薬の一部にはアスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛成分を含んだものもありますので、自己判断せず、使用時にはかかりつけの医師によく相談してください。(子ども用に市販されている解熱剤にも含まれているものがあります)


 ※1ライ症候群:小児において極めてまれに水痘,インフルエンザ等のウイルス性疾患 の先行後,激しい嘔吐,意識障害,けいれん(急性脳浮腫)と肝ほか諸臓器の脂肪沈着, ミトコンドリア変形,GOT,GPT,LDH,CPKの急激上昇,高アンモニア血症,低プロトロ ンビン血症,低血糖症等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。アスピリンとの関連性が判ってからは小児科でアスピリンが処方されることはほとんどなくなりました。

抗インフルエンザ薬

◆48時間以内に
 流行期に38〜39℃を超える急な発熱と、悪寒、頭痛、関節痛などの強い症状が出たら、インフルエンザの可能性は高いです。早めにかかりつけ医、または最寄の医療機関を受診しましょう。以前は検査に数日かかっていましたが、今は迅速診断キットというものがいくつか出ており、30分ほどでインフルエンザか否かが診断されます。検査方法は、鼻に綿棒を入れて周辺をぬぐって採取し、検査します。検査自体は直ぐに終わりますが診断が出るまで病院の状況もあるので1〜2時間程度かかることもあります。

 抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に服用しないと効果が期待できません。
48時間以内に服用すれば、合併症のないインフルエンザでの症状を短縮することが確認されています(24〜36時間で90%程の割合で熱が下がると言われています)。持病などのリスクのある患者さんについても、抗菌薬を必要とするような合併症を減少させたという報告もありますが、合併症などの重症化を予防できるかどうかについてはまだハッキリしておりません。いずれも、医師の処方が必要な薬剤です。

 また、もし48時間を越えて薬の効かない時期に受診してインフルエンザと判った場合でも、数日間安静にしていれば治る病気です。よく睡眠をとり、水分を摂り、必要に応じて症状を緩和する薬を出してもらうなどして対処法で治します。ただし、熱が高すぎる(体温調節の苦手な子ども)、高熱が3日以上続く、痙攣をおこす、飲んだものを吐く、水分が摂れていない、顔色が極端に悪い、意識が朦朧としているなどが見られたらすぐに医療機関を受診して下さい。

抗インフルエンザ薬 オセルタミビル ザナミビル アマンタジン
商品名 タミフル リレンザ シンメトレル
有効なウイルス型 A型・B型 A型・B型 A型のみ
薬の形態 カプセル
(成人・小児)
ドライシロップ
(一歳以上)
吸入薬
(成人・小児
錠剤・細粒
(成人)
副作用 胃腸障害(腹痛、下痢、嘔気など) 中枢神経症状(めまい、ふらつき、
たちくらみ)など
注意点 発症48時間以内に服用開始。子どもの行動異常についてはまだハッキリした見解は出ていません。耐性ウイルスの出現頻度は少ない。 発症48時間以内に服用開始。吸入器が必要です。予防で使用する場合は毎日使用する必要があります。発症時の使用には速やかな効果(頭痛、喉の痛み、発熱、筋肉痛、咳、衰弱、食欲不振などの改善)が期待できます。耐性ウイルスの出現頻度は少ない。 発症48時間以内に服用開始。B型ウイルスの流行時には効果がみられない。医師の指示に従い、最長7日間服用。腎機能低下患者には減量投与と副作用に注意。耐性ウイルスの出現頻度が高く、処方は減ると思われる。
値段の目安 高価 高価 安価
※適切に吸入できるとした場合に限る。ただし4歳未満の安全性は確立していません。

★子どもの抵抗力
 子どもは自分の力で感染症を治すことで、いろいろな細菌やウイルスに対する免疫力(抵抗力)がきちんとできあがる為の勉強をしています(熱を出すこともその一つです)。子どもの抵抗力を育てる為にも安易に薬を出さない小児科医もいます。インフルエンザにかかってできた免疫力は、1シーズンで効果が無くなる予防接種より抵抗力があるという意見もあります。
 また、抗ウイルス薬をあまりたくさんの患者さんに使うとだんだんウイルスに薬が効きにくくなる、「耐性」という状態になる為、必要以上の処方を避けるべきとの意見もあるようです。(参考として、医療関係者のページではありませんが、「カンガエルーネット」という予防接種や薬について考えている親達のHPがありましたので左欄にリンクしておきます。若いママは知らないかも知れませんが、私達が小学生だった頃は集団でインフルエンザ予防接種を受けていました。それがなぜ無くなったかがわかります。)
 ですが、もちろん抗ウイルス薬を使ったほうが良い場合もあります。乳幼児では免疫力がまだ出来上がっていませんし、脳炎や脳症になる可能性もありますから使用するケースが多いと思います。それから持病を持つリスクのある子ども、免疫の弱い子どもにも使ったほうが良いでしょう。ただし、1歳未満の乳児に対してタミフルを使った場合、安全性と有効性がはっきりしていないので医師とよく相談の上服用する必要があります。


お薬

◆誤った自己判断は危険です
 いわゆる「かぜ薬」と言われるものは、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません。インフルエンザ流行時期の風邪には十分注意し、急な発熱や強い症状が出たらすぐに医療機関へ行くようにしましょう。

 子どもには飲んではいけない薬もあります。上記の■ご注意!■をご覧下さい。

 また、インフルエンザには抗生剤(抗菌薬)は効きません。しかし、インフルエンザにかかったことにより、他の細菌にも感染しやすくなり、このような細菌の感染による肺炎や気管支炎などの合併症に対する治療として、抗生剤(抗菌薬)が使用されます。それぞれの薬の効果は、ひとりひとりの症状や体調によっても異なり、正しい飲み方、飲んではいけない場合、副作用への注意などがありますので、医療機関できちんと説明を受けてください。


安静にしましょう

◆睡眠を十分に
 何よりも体を休めることが一番です。睡眠を十分にとるようにしましょう。
室温は18〜25℃、湿度は60%くらいが適当です。
→「2.予防 適度な温度と湿度」を参照下さい。

◆水分をこまめに摂る
 高熱になる場合が多いので水分をまめに摂るようにしてください。
食事も水分と考えますので、高熱が出始めて食欲が無い場合以外は食べられるものをなるべく食べるようにして下さい(無理には与えない)。また、高熱で胃腸が弱っていますので、柔らかく水分のあるもの、喉越しの良いものなどを与えるようにして食べられるようにして下さい。離乳食を進めてる場合は形態を一段階戻して食べさせて下さい。


発熱について

◆発熱
インフルエンザは、急に高熱になるため、御家族の不安もかなり強くなると思います。しかし、発熱自体は感染に対する生体反応であり、それ自体が悪いものではありません。「高い熱」→「重症」と いう訳ではなく、悪い菌などを退治する為、防衛する為に熱が上がるのだと考えて下さい。脳炎や髄膜炎など脳に原因のある病気や炎天下の車内放置による熱中症など以外は、発熱が脳に影響することはありません。 熱に振り回されずにその時の子どもの様子をしっかり見ておくほうが重要です。

 熱の上がり始めは、抱っこの多い乳児期は母親が子どもの体温の熱さで気付いたりしますが、その他にもグズる、グッタリとして寝込む、食欲が無い、顔が赤いなどの様子で気付くと思います。
 高熱が出る場合は手足が冷たくなり体が震えて体温を高めようとするので、その場合は熱が上がってきていても体を温めるようにしてください(汗をかいたり暑がっている様子なら冷やします。嫌がるようなら無理に暖めないで下さい)。部屋も適温に暖め、加湿します。熱がある程度出きると手足が温まってきますので、そこで飲めるようなら水分を摂って下さい。
 熱の役目が終わって下げる段階になると、額やわきの下に汗をかいたりしてきます。そうなったらこまめに水分を摂らせながら、掛け布団を減らしたり、濡れた衣服を着替えたり、頭などを冷やして楽な状態にして下さい。高熱が下がってくるのを助けるには額を冷やすよりもわきの下、足の付け根など大きな血管があるところを冷やすほうが効果的です(体温調節が苦手な子どもは冷やしすぎないように注意して下さい。また、子どもが嫌がるようなら無理に冷やさないで下さい。)。
また、小さな子どもの熱の場合、一度高い熱が2〜4日続いた後に一旦おさまり、再び発熱する2峰性発熱になる場合もあります。


●解熱剤
 解熱剤は、熱の上がり始めに使用しても十分に免疫力を発揮することなく熱を下げてしまうので意味が無く、菌やウイルスが減っていない為に再度熱が上がってしまうことがあります。また、小さな子どもでは高熱が続くより熱が下がり上がりをすることの方が体力を消耗するそうです。解熱剤は治療薬ではなく、熱性けいれんの予防薬でもありません(熱性けいれんには別のお薬があります)。小さな子どもはおとなよりも、高い熱が続いても大丈夫です。ですが、3日以上高熱が続いて寝付けない、食事や水分が摂れないなどの場合は、弱い解熱剤(アセトアミノフェン)であることを確認して使用し、熱を下げても良いでしょう。インフルエンザの時にも使える弱い解熱剤なので、熱が1℃下がったら効果があると思って下さい。個人差があるので体温の下がりすぎには念の為注意して下さい。熱が高いと言う理由だけで解熱剤を使い続けますと、免疫力や自然治癒力を低下させることもあります。機嫌が比較的良く、水分などがそこそこ取れている場合は使用せずに様子を見るほうが良いと思われます。心配な点がある場合は医師に相談して下さい。
 小児がインフルエンザ時に飲んではいけない解熱剤については上記の■ご注意!■をご覧下さい。

●その他の熱
・生後3ヶ月以内での38度以上の熱は、中耳炎(診察時に耳もチェックしてもらいましょう)や尿路感染症の場合があります。


インフルエンザの合併症

◆合併症
 抵抗力の弱い高齢者・乳幼児、気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全(免疫抑制剤による免疫低下も含む)などの方は、インフルエンザにかかると合併症を併発する場合があります。高齢者では細菌の二次感染による肺炎、気管支炎、慢性気管支炎の増悪が起こりえます。また、乳幼児では中耳炎や熱性けいれんが起こりえます。また、その他の合併症としては、ウイルスそのものによる肺炎気管支炎心筋炎、アスピリンとの関連が指摘されているライ症候群などが挙げられます。合併症の状況によっては入院を要したり、死亡したりする例もあり注意を要します。近年国内では、小児において年間100〜200例の、インフルエンザに関連したと考えられる急性脳症の存在が明らかとなり、現在解明が急がれています。


流行防止にご協力下さい

◆流行を最小限に
 インフルエンザは発症後3〜7日間ウイルスを排出すると言われています。この期間、患者は感染力があるといえますが、排泄されるウイルス量は経過とともに減少し、排泄期間の長さには個人差があります。抗インフルエンザ薬の内服によって発熱期間は通常1〜2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少されますが、解熱後の感染力が同じように短縮されるとは限りません。
症状が良くなってもウイルスが放出されていることを考慮し、外出には(喉を保湿する為にも)マスクを必ず使用するなどして他の人にうつさないようにしましょう。

 ちなみに、学校保健法では、「解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としております。通園施設もそれに順ずるところが多いかとおもいますが、重度障害児が通園する施設などは医師の通園許可診断書を提出するように義務付けているところもあります。

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